art is calling08_平下 英理「つりあいと気配」
横浜、神奈川やその周辺で活動する若手アーティストによる作品展示とトークイベントを1セットに、アーティストが次のアーティストをリレースタイルでつないでいくBUKATSUDO GALLERYの企画展「art is calling」。
作品を見せる側のアーティストも、その作品を間近に楽しむことができる来場者も、街中で知り合いと挨拶するようなアットホームな感覚でアートと出会え、それがゆるやかに続いていく場にしたいという思いが込められています。
次にバトンを受け取ったのは、平下 英理さんです。
安部 寿紗
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平下英理
バイト先が同じで、毎週必ず顔を合わす平下さん。
私の知っている平下さんは「気配りの人」だ。
私の展示がある際はシフトをたくさん変わってくれる平下さん。
私の愚痴を眉間に皺を寄せながら親身に聞いてくれる平下さん。
私が金欠で米と味噌でしのいでいると言うと、休みの日にも関わらず焼売を差し入れてくれる平下さん。
私のパフォーマンスの日、晴れるようにてるてる坊主を作ってくれた平下さん。
それが私の知っている平下さん。
私は平下さんの描く絵をまだ見たことがない。
だけど平下さんの絵に対する情熱や信念を、実直な姿を通していつも感じている。
「art is calling」はお客様に向けて「アートが呼んでいるよ見に来てね」っていう意味かもしれないけれど、
私には「アートの神様」が手招きをして誰かを呼んでいる姿が思い浮かんだ。そして呼ばれているのは平下さんだと思った。
平下さんに出会って丁度一年が経つ。
どんな作品に出会えるのか、心待ちにしている。
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art is calling08_平下英理「つりあいと気配」
昨年から暮らしが一変し、人とオンラインでコミュニケーションをとる機会が増えてから、デジタル情報空間では取りこぼしてしまう事について考えることが様々な場面でありました。物理的な接触や、物の受け渡しのやり取りなど、同時間同じ場所に居ることで成り立つ事が出来なくなり、それによって人やものの「気配」、「手触り」、「熱」といった要素をあらためて求めるようになったような気がします。そうした中での作品制作も、より「絵」を「もの」として体感するには何を前景化するかを考えるようになりました。絵を前にすると、視線を動かし、体勢を整え、体の平衡感覚と絵の空間とを合わせて見つめます。そこから絵の中に没入していきます。
その絵が円型となり、水平垂直の軸が見当たらない、体の平衡感覚を固定できない不確かな形をしていると、何が現れるか。そこから絵のもつ「気配」について考えていきたいと思います。
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日時:10/11(月)~24(日)
場所:BUKATSUDO GALLERY ※アクセスは【こちら】から
参加費:無料
※感染症対策のため、マスク着用・アルコールでの手指消毒にご協力をお願いいたします。
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【プロフィール】
平下英理
1985年神奈川県生まれ。2009年東京造形大学美術学科絵画専攻卒業。
断片化されたフォルムや二重に描かれたイメージによって、絵画の物体性と空間表現の相関関係について考える制作を行う。主な個展に「忘れえぬ景色」MUSEE GINZA,東京 (2016)、「ストレンジ&チャーム」Gallery b. Tokyo,東京(2009)。主なグループ展に「NEW ARTIST 2015」Gallery Jin Projects,東京(2015)、「トーキョーワンダーウォール入選作品展2015」東京都現代美術館,東京(2015)、「SQ117」Gallery惺SATORU,東京(2014)など。