art is calling09_安部 寿紗「わたしのよるべ」

横浜、神奈川やその周辺で活動する若手アーティストによる作品展示とトークイベントを1セットに、アーティストが次のアーティストをリレースタイルでつないでいくBUKATSUDO GALLERYの企画展「art is calling」。
作品を見せる側のアーティストも、その作品を間近に楽しむことができる来場者も、街中で知り合いと挨拶するようなアットホームな感覚でアートと出会え、それがゆるやかに続いていく場にしたいという思いが込められています。

次にバトンを受け取ったのは、安部 寿紗さんです。

平山 好哉

安部 寿紗

安部さんとわたしのスタジオは隣接していて、間近で活動を見させていただいている。積極的に展示やイベントに参加し企画もおこなう、表現媒体もパフォーマスや平面・立体、テキスト等と多岐にわたる。活動的で大胆な発想に日々感化させられている。近作の実体験をもとにした小説「偶然の賜物」では、家族との出来事を中心に、二価の感情が寄る辺なく漂うような複雑な心境が描かれている。 積み重なった記憶の回層を、手探りに並べ替えて自己分析しているようにも感じる。鑑賞者は不思議と自分の内面と向き合うような感覚になるのではないだろうか。

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art is calling09_安部 寿紗「 わたしのよるべ」

紙を線香の火で米粒の形に焼き抜く作業をわたしは野焼(※1)と呼んでいる。野焼を始めたのは2010年頃で、この頃わたしは高野山で制作していた。農地がなく稲藁が入手しにくい高野山には、しめ縄の代わりに宝来という切り絵を飾る風習がある。干支や七福神、寿の文字などの図柄を切り抜いた紙を、玄関や床の間、台所などに掛ける。切り抜かれたその隙間から光が差してとても綺麗だった。宝来をお米にまつわる作品(※2)に取り入れたいと思ったことが野焼の始まりだった。始め宝来の手法と同じくカッターナイフを使って紙を米粒の形に一粒一粒切り抜く作業をしていたがすぐに手がしんどくなり、別の方法を探るようになった。そんな頃お坊さんに、お線香は亡くなった人の食べ物なのだ、という話を聞いた。生身のない仏が香を喰う、香は煙に乗って空に高く登る、香りは天まで届く、という直感を受け私は野焼を考案した。その作業はやがて私の寄る辺となる。

(※1)野焼は一般的に田畑を焼く作業のことを指す。古くから行われてきた焼畑農業の、森を焼き払いそこに焼け残った草木や灰を肥料として作物を栽培した後、養分がなくなった森を再び焼く、死から生へのイメージからこの作業に「野焼」と名付けた。
(※2)2005年に農作業を経験して以降、米の生態や稲作文化に関心を寄せた作品を制作している。
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日時:11/15(月)~28(日)
場所:BUKATSUDO GALLERY ※アクセスは【こちら】から
参加費:無料
※感染症対策のため、マスク着用・アルコールでの手指消毒にご協力をお願いいたします。

<アーティストトーク> 現地開催します!
日時:11/23(火・祝)17:30~18:15
参加費:500円*ドリンク付き
会場:BUKATSUDO STUDIO

▽アーカイブ

【展示風景】

【プロフィール】
1984年兵庫県出身。創造社デザイン専門学校卒業。2019年より黄金町AIRに参加、横浜在中。主に米をモチーフとして、米にまつわる伝承や米そのものの生態にわたしの内面を投影した作品を制作し、インスタレーション、パフォーマンス、テキストを用いて思考の回層を表す。

小さい楕円を描くと日本人は「米」を想像することができる、それはわたしの内にあるものと他者の内にあるものの中で重なる部分の一つである。それと同時に「米」のような普遍的な物は「思い違い」の種でもある。

「小さい楕円を描くと日本人は米を想像することができる」という思い違いを起こす可能性を含む。はじめから二価であるわたしの思考が「共感」や「正しさ」を求めるものではなく、どんなものであってもいい、他者の思考が駆動することを望んでいる。

主な展示に「黄金町バザール2021 サイドバイサイドの作り方」(ハツネウイング、神奈川、2021)「UNMANNED 無人駅の芸術祭/大井川2021」(金谷公民館みんくる、静岡、2021年)、「ショーケースギャラリー安部寿紗展」(横浜市民ギャラリ−あざみ野、神奈川、2021年)


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