大谷能生の“真夏の夜のジャズ2016” ~ジャズの現在形を聴く~
8月上旬に開催した「大谷能生の“真夏の夜のジャズ2016” ~ジャズの現在形を聴く~」のレポート!
昨年のビギナー向け連続講座に続き、BUKATSUDOでは2回目となる音楽家・批評家の大谷能生さんによるジャズレクチャー。「真夏の夜のジャズ2016 ~ジャズの現在形を聴く~」と名付けられた今回は、3夜連続のスペシャルイベントとして、よりディープな内容で開催されました。
毎夜講義後は、BUKATSUDOを拠点に音楽好きが集う「BUKATSUDOレコード部」のDJでアフターパーティーを開催。大谷さんはじめ出演者陣と直接はなしたり、参加者同士で盛り上がったり、そんな余韻も楽しいイベントとなりました。
<1日目>
「リズムから紐解く現代のジャズ」
ゲストは、Yasei Collectiveのドラム担当・松下マサナオさん。ドラムセットを使い、実演を交えながらのレクチャーです。1990年代〜2000年代にかけてのドラムの「音」の変遷や、電子ドラムとサンプリングの登場がジャズドラマーに与えた影響など、プレイヤーならではの実体験を交えたリアルな解説は、普段なんとなく聴いている曲をより一層楽しむことができそうなものばかり。さらに、講義の最後にはドラムの即興演奏と、Yasei Collectiveの楽曲「Lights」の音源に合わせたドラムのソロアクトが披露されました。
<2日目>
「”Jazz The New Chapter” の2016展望」
音楽ジャーナリストであり、「Jazz The New Chapter」(シンコーミュージック)の監修を務める柳樂光隆さんをゲストにお迎え。ジャズの「現在」と「未来」がわかる楽曲の解説をしてくださいました。2000年代に登場したロバート・グラスパー以降、ジャズはいかに複雑な打ち込みの音源をライブで再現できるかを競うようになり、今までにないアプローチの楽曲が多く生まれました。今回はその中でもより革新的な11の楽曲を取り上げ、演奏方法を解説。逆再生したドラムのフレーズを生演奏で再現した曲や、ピアノの音にフィルターをかけてピアノとは違った音に変化させている曲など、どれも今まで聴いていたジャズとは大きく違う、目(耳?)から鱗なものばかりでした。
<アフターパーティー Special Guest>
Hikaru HANAKI a.k.a hkrrr_jp
(ライター/「Jazz The New Chapter」他)
<3日目>
「“ガンダム・サンダーボルト”および“Tea Times”を聴きながら、最新ジャズのモードについて語る」
最終日のゲストは、日本を代表するジャズプレイヤー・菊地成孔さん。自身が作曲とプロデュースを行った2枚のアルバム「オリジナル・サウンドトラック『機動戦士ガンダム サンダーボルト』」と「Tea Times」についての解説を交えつつ、コアなジャズ談義を繰り広げました。作曲家、プロデューサー、ジャズプレイヤーなど様々な側面を持つ菊地さんによるジャズ談義はリズムから音の構成、演奏方法など多岐に渡って触れられ、まさにこの3日間の総括と言える内容。また「Tea Times」に参加したプレイヤーについてのここでしか聞けないこぼれ話もちらほら伺うことができ、ジャズファン垂涎の1日となりました。
「大谷能生の“真夏の夜のジャズ2016” ~ジャズの現在形を聴く~」
期間:2016年8月4日~8月6日
出演:大谷能生(全日)
松下マサナオ(第一夜)
柳樂光隆(第二夜)
菊地成孔(第三夜)
協力:BUKATSUDOレコード部
レポート:山梨幸輝