BUKATSUDO GALLERY企画展「art is calling」

横浜美術館、黄金町、BankART1929をはじめ、出かけたくなるアートスポットが多数点在するみなとみらい・桜木町周辺。そのちょうど真ん中あたりに位置するBUKATSUDOにも、実は高さ2m×幅8mの壁面スペース【BUKATSUDO GALLERY】があります。これまでも、写真や絵などの作品展で利用されてきましたが、より多くの方にこのスペースを知ってもらいたいという思いから、連続企画展を展開していくこととなりました。1~2ヶ月に1回ほどの頻度での開催を予定しています。

横浜、神奈川やその周辺で活動する若手アーティストによる作品展示とトークイベントを1セットに、アーティストが次のアーティストをリレースタイルでつないでいくこの企画。
作品を見せる側のアーティストも、その作品を間近に楽しむことができる来場者も、街中で知り合いと挨拶するようなアットホームな感覚でアートと出会え、それがゆるやかに続いていく場にしたいという思いを込めて、BUKATSUDO GALLERY企画展「art is calling」というシリーズ名を付けました。

ここであたらしい表現にふれ、ほかのアートスポットもハシゴしたくなるような企画を目指します。現在開催中の横浜トリエンナーレと一緒にぜひ、横浜のアート巡りをお楽しみください◎

 

ロゴデザイン:本村綾子

<ロゴに込めた思い>
個性豊かなアーティストがリレー形式で繋がって行き、そこから新しい人のつながりが生まれるという流れを、挨拶・握手から輪・和が広がるというイメージに落とし込んだ。
BUKATSUDOが中心になって、ほかのアートスポットにも波紋のように広がるように…という思いが込められている。

 


 

01 吉田ゆう「Tracing the sea」

BUKATSUDO→01 吉田ゆう
BUKATSUDOから最初のバトンを託すのは、アーティスト・吉田ゆう。横浜を拠点に活動し、2016年からスタッフとしてもBUKATSUDOにかかわる彼女は、BUKATSUDO GALLERYのオープニング展示や、文化祭での版画ワークショップ、コンパスYOKOHAMAでのシルクスクリーンなど、じっと考えさせる作品からこどもも参加できるアート体験まで、さまざまな表現でわたしたちをアートと近づけてくれています。この「BUKATSUDO GALLERY企画展「art is calling」のプロジェクトメンバーにも加わり、一緒にあたためていこうと模索中。

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「Tracing the sea」

ここはかつて海の中だった。
私たちは遥か昔、海から生まれ、地上へ移動し生活をしてきた。
海だった痕跡は現在の地上にも地下にも存在していて、普段気付くことはないが、私たちは今でも海と暮らしている。

私は、《今と昔》の海の痕跡をトレースすることにした。
化石や川から、海で起きている出来事など、《今と昔》の海の痕跡をトレースし、展示する。

目に見えない海の痕跡を形に起こす事で、思い出すことのない私たちの海での記憶に辿り着けるかもしれない。

 


 

02 菅野静香「sightseeing」

01 吉田ゆう→02 菅野静香

私、吉田ゆうから次のバトンを託すのは、画家・菅野静香。
大学の同級生で助手時代の同期でもあり、昔から彼女の油絵を良く観てきた。
彼女の創作環境や心境は、学生の頃からもちろん変化し続けているが、最近の作品「身近に存在するもの」を描いていて、作家が見つめる風景を鑑賞者も追体験することができるように感じる。
今回の展覧会「sightseeing」では彼女が観光者として見た横浜を描く。慣れ親しむ横浜だが、私自身にも新しい出会いが見つかるかもしれない、と今からワクワクしている。

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「sightseeing」

近作に加え、作家が観光客としての視点で捉えた横浜を描いた作品 の展示を行う。

 


 

03 角谷沙奈美「旅を続ける」

02 菅野静香→03 角谷沙奈美

角谷さんはかつて横浜にて滞在制作を行なっていたことがある。当時そのスタジオを見学させてもらった際、横浜の大桟橋から見える内港信号の点滅するアルファベットを描いた作品があり、それから大桟橋を訪れるたびに彼女のその作品を思い出すようになった。それが今回のこのバトンを繋ぐことのきっかけになったと感じている。

彼女とは一時期アトリエを共にしていたことがある。彼女の制作スペースは「今まさに制作中の現場」というよりも常に展覧会のようなたたずまいであった。ギャラリーなどの絵画を鑑賞するのために用意された空間に限らず、誰かの暮らしの気配を感じさせる場所であっても、作品の行く先々をたちまち自分の空間に染めていく。

私も展覧会をしたこの場所を彼女はどう彩るのか。いちファンとしてとても楽しみにしている。

*  *  *

「旅を続ける」

2019年、パリに長期滞在する機会を得ました。多くの時間を美術館で過ごし、近隣の国々にも出掛けました。その土地の歴史や芸術作品に触れ、過去へ思いを馳せる事で心理的にも遠くへと旅をしたように思います。しかし帰国して間も無く、人々の移動が制限され自由に旅に出ることが難しくなりました。閉塞的な雰囲気の中、私は自宅から2キロほど離れた丘の上にアトリエを借りました。川を渡り畑を抜けて林の中を上がっていくとアトリエが見えて来ます。見晴らしの良い場所に立って目を凝らすと遠くで相模湾がキラキラと光っています。横浜は見えるでしょうか。

幼い頃から見慣れた景色も繰り返し歩いていると懐かしい記憶と共に新たな気付きを与えてくれます。そのささやかな経験は私の心を揺さぶります。そしてこの他愛のない日常の中で、私はまだ旅を続けられる気がしています。

 


 

04 井上潤美「Dance ⇄ Notation」

BUKATSUDO→04 井上潤美

井上さんとの出会いは最近のこと。
BUKATSUDOでスタッフ募集をしていた時に応募してくれたのがきっかけだ。
大学院を卒業し、これからパリで制作活動をしたいと思っていたが、Covid-19を理由に渡航ができなくなった。
そんな彼女のこれからを何らかの形で応援できないか?そんな思いから、本展示の開催につながった。

大きな時代の変化の中で、外に飛び出す機会がなくなってしまわないように。
挑戦する機会を作っていきたい。
BUKATSUDOが、art is callingが、その役割を果たせたらうれしく思う。

*  *  *

「Dance ⇄ Notation」

ダンスノーテーションとは振付を図示した記譜のことだ。
再現のために記譜があるのだが、特に私自身の作品にとってダンスノーテーションの意義は、作品の主題を記すためのものだと考える。そして主題を図示するという行為はドローイングと殆ど同じと思う。
そこで私自身の記譜を「ドローイングノーテーション」と呼ぶことにした。
私はダンスとノーテーションの相互関係によってダンスを展開したい。

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今回、群馬県みなかみ町湯宿温泉でのプロジェクトをもとに展示する。

「湯宿の声 /ことばスケッチ」より
2015 年から群馬県みなかみ町湯宿温泉でプロジェクトを行なっている。事の始まりは現地に住む高齢者の方言混じりの会話を聴いたことだった。私の頭には理解と不理解が混在し、この体験は私に「違う土地にいる」という実感を与え、方言がことばとしての意味を失い、ただの「音」に聞こえることを発見した。
ことばは身体を通して、発話され、聞かれ、見られ、身振りされる。それらの身体運動は私にとってダンスそのものだ。


05_井上幸子「記憶の欠片」

03 角谷沙奈美 → 04 井上幸子

この企画の話をもらった時、バトンを渡す相手としてまず頭に浮かんだのが、横浜でポートレートの制作を行なっていた井上さんでした。BUKATSUDOという様々な目的で人々が集うこの場所は、井上さんのこれまでの活動と相性が良いのではないかと思ったからです。長時間露光で撮影されるポートレートは、輪郭や顔の表情も曖昧に映ります。しかし作品をじっと見つめていると、その人物像が鮮明に立ち上がってくるから不思議です。
私たちは小学生の頃からの友人でもあります。共有している思い出も沢山あります。そんな彼女が世界をどのように見ているのか、そしてそれをどのように表現するのか。彼女の作品を通して見る世界はいつも新鮮に映ります。制作活動をそれぞれに続けてきた二人ですが、今回初めて作家同士として関わることになりました。“バトンを渡す”ということで同じ空間、企画で携われることを嬉しく思います。
井上さんの作品を通して、また新たな交流が生まれるart is callingをぜひお楽しみください。

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「あなたの見た夢の話を聞かせてください」

記憶を紡ぎ、物語が表れる。わたしとあなた、インタラクティブな関係の中で時間を通じ普段目で見ることの出来ない私たちそれぞれの姿を写真で可視化したい。
横浜のとある地下を降りると、様々な人々が行き交う素敵な場所がある。ここに通う人々を被写体に写真を撮らせて貰う機会を得た。地下に広がるこの場所で、どのような夢の話からどのような表情を見せるであろうか。


06_葉栗翠「戯れる。あるいは溺れる。」

吉田ゆう → 葉栗翠

葉栗さんは、昨年まで黄金町のアーティストインレジデンスに参加していました。井上幸子さんも、そして私自身も、それぞれ黄金町のアーティストインレジデンスに参加していたアーティストです。私たちは黄金町という地域を通して知り会いました。このように横浜創造都市界隈を拠点に活動しているアーティストは沢山います。
葉栗さんは黄金町アーティストインレジデンス中、海外との文化交流展にも多く参加していて、交流してきた地域、人が持つ時間の流れや場所が抱える問題など、あまり目に留まらない記憶を色鮮やかに絵画作品や立体作品など多様な表現で提示してきました。
その他にも野毛山動物園にいる動物を描いたり、2019 年の黄金町バザールでは、動物園という形式を絵画作品と展示空間を使って発表を行いました。その地域から感じた事を作品にしてきた葉栗さんに BUKATSUDO という、地域との繋がりを創出している場所で展示してもらえる事はこの art is calling が軸としている波紋のように広がるアートとの出会いにぴたりと当てはまる気がして楽しみです。

* * *

掌にすくいあげられた水は、それが川となり、海となり、雨となり、時に私たちを襲う。その反面、私たちが生命をつなぐためには水が必要不可欠なモノである事は、誰しも異論はないだろう。私は今まで一つの現象に見える見えない、忘れる忘れないなどの相反した性質が存在することについて考えてきた。どんなモノにも、それに関わりのある事物の数だけ異なった見方がある。そして私たちはそれを真実だと思う。

この展示では何が描かれているのではなく、そこで何が起こっているのかあなたの真実を探してほしい。


 


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